名古屋市守山区 デイサロンふくふく
介護の現場から〜笑顔があふれるデイサロン「ふくふく」〜
代表の横山清美さんにいろいろとお話しをお聞きしました。
私がお邪魔したのはちょうど、昼ごはんが終わって、お片づけの時間でした。
利用者の方達は、それぞれ席について、テレビを見たり、雑誌のパズルを解いたり思い思いに過ごしていらっしゃいました。驚いたのは、利用者さんの中には、洗われた食器を拭く手伝いをしたり、洗濯し終わったタオルを干す手伝いをされていたことでした。もちろん、スタッフの方が重いものを運んだりはするのですが、「やれること」は利用者さんが、進んで「やっている」というスタイルでした。
横山さんによると、「ふくふく」では
お年寄り一人一人生きがいや役割をもち、その人らしさを再び引き出すことのできる居心地の良い空間を提供したい。
という考えをもとに「やれることはやってもらう」その中で、「自分は人の役に立てる」という生きがいを引き出しているそうです。
中々、家庭において、「危ないから」「手間がかかるから」という理由で本来なら、「やれること」からも遠ざかってしまって、少しこちらが手助けさえすれば良いこともすべて取りあげられてしまっている。特に、田舎と違い名古屋などでは、畑仕事や庭仕事ができるわけでもないことが多く、「できること」が限られてしまっています。
本来なら、家事のスペシャリストであった年寄りだとすれば、「上手にできること」もあるのです。
綺麗に拭きあげられて、並べられた食器を見て改めて、ここにいるのは、「お年寄り」「介護が必要な人」というのではなく「同じ人」としての尊厳をもった方。このように感じました。そしてそれを保っていくための、「介護」なのだと感じました。
また、横山さんは、福祉の仕事に20年以上携わり、多くのお年寄りと関わってこられたそうです。その中で、
「自宅で暮らしたいが仕方なく施設に入居している人」「地域から遠のき孤独に一人で生活している人」「大規模の施設に馴染めず困っている人」など様々な思いを抱いて生活しているお年寄りが沢山みえました。
その中で「いつかは自分で小規模な福祉施設を作りたい」と思われたそうです。
そこで、2014年12月守山区大森に定員9名の小さなデイサービス「デイサロンふくふく」を開所されたそうです。
「孤」から「個」へ
1日の流れの中で、機能訓練やレクリエーションを組み込みながら、時にはお出かけにも行きます。しかし、中にはクループ行動が苦手な方もいらっしゃるので、その場合には個別の活動にも重点を置いて活動して見えます。サロンにはたくさんの作品も飾ってあり、とてもたのしそうな雰囲気が伝わってきました。
横山さんは、
誰もが「私らしく」暮らし続けたいものです。
そのために私たちは、『孤独』になっていた方の『個性』を見つけ出すことを大切にしています。
個別支援でしっかりと利用者のやりたいこと、出来ることを一緒に共感していきます。と話してくださいました。大型施設では、目が届かないこともあるし、何より今は働き手が不足していて、たくさんの人を一度に見ることは難しくなっているそうです。だからこそ、「定員9名の小さなデイサービス」はその理念に基づいて、運営されてます。
お話しを聞き終えて、サロンに戻ってきた時、手作りのジェンガのようなおもちゃを使い、利用者さんが、みんなでゲームをしていました。自分でできる方も、そうでない方も、スタッフの助けを借りたり、みんなからのアドバイスを受けて、楽しそうに過ごしていらっしゃいました。私自身田舎でおばあちゃんに囲まれて育ったせいもあり、このような笑いに溢れたサロンはとても居心地の良さを感じました。
介護の現場というものは、テレビや新聞などで見聞きしていたのですが、実際足を運んでみて、あらためて人と人なのだと実感しました。
デイサロンふくふくの皆様 おいそがしい中ありがとうございました。